Diary

@ssig33

23 Jul 2017 Sun 23:13

シュテファン・ツヴァイク 『ジョゼフ・フーシェ : ある政治的人間の肖像』 読んだ

僕は以前からジョン・エドガー・フーヴァーに興味があって、フーヴァーの精神的な先駆者としてジョセフ・フーシェという人がいるということは知っていた。ただかの有名な伝記すら読んでいないという状態だった。どちらかというとフランスに関してはヴィドックへの関心が深かったという事情がある。この際だからということで読んでおいた。

実際のところ、フーシェが運用していた諜報網はどういうものだったのか、またその結果得られる大量の情報をどのようなシステムで管理していたのかといった問題については全くこの本からは知識を得られなかった。 19 世紀に片足を突っ込んでいるツヴァイクにとってそうした情報システムは自明のものではないと僕は以前から考えていた。近代的な情報システムがヨーロッパにおいて整備されたのは 1890 年代後半から 1900 年ごろにかけてというのは以前論じた。ただまあツヴァイクが物心つく頃にはその整備プロセスの最末期であっただろうし、故にツヴァイクは「情報社会ネイティブ」第一世代というのが実際のところなのかもしれない。ツヴァイクはフーシェの情報システムの詳細について何も記していない。

ツヴァイクは明らかにフーシェに惚れ込んでいる。それは、情報社会を自明のものとして享受する最初の世代としての、先駆者への敬意なのだろう。それはそれでいいのだけどとにかく期待外れの本ではあった。